犬の散歩のルールは?マナーや注意点を知ろう
犬の散歩へ行く前に、飼い主の心得として知っておくべきルールやマナーがいくつもあります。中には法律/条令で定められているものや、犬に悪影響を与えることもありますので、ポイントを覚えておきましょう。「罰則を受けることになってしまった」「知らず知らずのうちに周りに迷惑をかけていた」なんてことにならないよう、1人1人の飼い主が責任を持って楽しい散歩をしましょう。
まずは持ち物をチェックしましょう。
首輪または胴輪を犬に装着し、それらにリードつけて散歩に連れ出すことは、法律で決められているルールです(※)。愛犬を守る命綱でもありますので、必ずリードを装着して散歩をしましょう。
同様に、鑑札及び狂犬病予防接種済票を犬に装着することが法律で定められていますので、散歩中、首輪や胴輪に装着するようにしましょう。また、マイクロチップの装着が進められており、多くの犬がすでに装着済みかと思います。未だ未装着の場合、一度検討しても良いかと思います。
中には、フードやトリーツなどの食べ物を持っていかない人も多いと思います。散歩中、何かに恐怖反応を示したとき、大好きな食べ物を与えることで慣らすことができたり、食べ物を持つことで「オイデ」等の望ましい行動を引き出しやすくなるので、ぜひポーチなどに入れて持ち歩くようにしましょう。
内閣府が調べた動物愛護に関する世論調査(平成22年9月)の中で、「ペット飼育による迷惑:他人がペットを飼うことについてどのようなことに迷惑を感じるか」の問いがありました。これに対して「散歩している犬のフンの放置など飼い主のマナーが悪い」という意見がもっとも多く挙がっています。
また、「ペット飼育の好き/嫌い」という項目の結果として、25.1%の方が「嫌い(大嫌いを含む)」と答えています。
犬の飼い主は、ペットを苦手と感じる人がいる社会で、周りに迷惑や不快感を与えないような散歩を意識しなければいけません。
特に、犬の排泄については、十分に気を付ける必要があります。家の前にウンチが落ちていたら、犬嫌いな人にとってはもちろんのこと、たとえ犬好きの人でも気分が良いものではありません。理想は、自宅の中、敷地内で排泄を済ませてから散歩に出かけること。盲導犬のような人社会で暮らす使役犬(=人のために仕事をする犬)は、排泄を済ませてから外に出かけ、ユーザーさんをガイドしている最中は排泄をしません。「盲導犬は特別だから」できるのではなく、日々の習慣によって身に着けることができます。
また、犬はマーキングをする動物です。縄張りをアピールするため、少量のオシッコを繰り返して自分の匂いを残そうとします。一般的にオス犬が片脚を高く上げてする行為がマーキングと認識されていますが、メス犬でも行なわれたり、ウンチでも行なわれることもあります。他個体とのコミュニケーションや異性への性的なアピールを目的として本能的に行われる行動です。
ただ、そのような動物だからと言って、好き勝手にマーキングさせることはマナー違反です。電信柱が街中の犬たちのマーキングスポットになってしまうこともよくあります。犬のオシッコが原因で柱が倒れる事故やそれによって怪我を負ってしまったという事件も起きています。
もし、公共の場所でふいに排尿をしてしまった際には、トイレシートで吸い取り、水で流すように処理をしてください。たっぷりの水をかけなければ、匂いは消えません。うんちは必ず拾って持ちかえり燃えるごみとして処理してください。
自転車に乗り、犬を散歩させている人をみかけることがありますが、道路交通法違反として罰則を受けることがあります。また、愛犬と飼い主にとっても危ない行為です。犬が何かに気を取られて急に引っ張ったり、立ち止まったりすることもありますし、驚いた拍子に自転車に巻き込まれてしまう可能性もあります。愛犬の運動のためという飼い主も多いと思いますが、ルールを守って行うことが最低限のマナーです。
その他に、犬が歩く場所についても気を付けられると素晴らしい飼い主と言えるでしょう。道によっては、歩道と車道がはっきり分かれていないことや、道路に沿った狭い道があります。そのような場所では出来るだけ犬は歩道側を歩かせるようにしましょう。犬は道路に出たら危ないと理解しているわけではありません。反対車線に大好きな人がいたら、猫が走ったら、本能的に道路に出てしまいます。愛犬の安全を守るため、道路からは離れて歩きましょう。
また、「犬や人とすれ違う時は距離を取る/飼い主が間に入る」「自転車などが通る時は止まる」等、安全に移動できるように対応を取ることが大切です。
飼い主について歩く練習や動きを止めて落ち着けるような練習ができると、楽しく安全な散歩をサポートしてくれます。
犬の散歩には守らなければいけないルールやマナーがたくさんあります。人と犬が互いに幸せに暮らすためにも、ルールを守って楽しい散歩に行きましょう。
著者:鈴木 拓真(すずき たくま)
麻布大学獣医学部動物応用科学科卒業。国際資格CPDT-KAを持つドッグトレーナー(スタディ・ドッグ・スクール所属)。毎週末行なうレッスンには多くの飼い主と犬たちが集まる。預かりや訪問など様々なしつけ/指導を行なう中、動物系専門学校の講師も務める。趣味は愛犬のぶん太(ブリタニースパニエル)と犬連れスポット巡り。
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