では、子犬の散歩っていつから始めるのが理想的なのでしょうか。
子犬が成長する過程で、3~12週齢のまでの間を社会化期と呼びます。この時期は、同腹犬との遊びや親犬との関わり合いを通して、コミュニケーション能力を身につけていく、とても大切な時期です。また、触れ合った対象や場所などに愛着を形成しやすい時期なので、8週齢を目安に新たな家庭(飼い主)に生活の拠点を移すのが理想的です(犬の販売は、生後56日まで原則禁止/動物愛護法/2020年12月現在)。つまり、この時期から子犬の散歩の練習を始めるが理想的です。とはいうものの、まだ子犬ですから地面に下ろしたところで、あちこちにフラフラしてしまったり、怖くてその場でフリーズしてしまいます。
では、まった外に連れ出さない方が良いのかと言いますと、そうではありません。抱っこや、キャリーバッグに入れた状態で近所を歩くなど、徐々に人社会の刺激に慣らしていきます。過去の実験では、9~13週齢までが社会化の堺であると結論付けています(Freedman, 1961)。つまり、まだ幼い時期の子犬に多くの刺激を与えること。つまり、沢山の人に触れ合わせ、音を聞かせ、見せるという経験が犬の成長に影響を与えるということが分かります。(社会化:将来犬が群れを形成するため、そして群れの中で暮らすために必要となる社会性を身につけること。ここで指す『社会化』とは群れを形成する相手を認識し、愛着などを形成すること。さらに、犬はコンパニオンアニマルとして人と暮らす動物のため、群れを形成する人を認識し愛着を形成する必要がある)。
さらに、犬の行動の変化として、4ヶ月齢前後に新奇刺激に対して怖がる傾向がみられるようになり、6ヶ月齢頃になると成長が早い個体だと性成熟を迎えます。成長に伴うホルモンバランスの変化によって、縄張りを意識し始め、警戒で吠えるようになったり、マーキングをするようになったりもします。家のドアベルに吠えかなった個体が、強く吠えるようになるのはこの時期ぐらいからです。
つまり、犬の散歩デビューをスムーズにするためには、子犬が家に来た時から、外に連れ出す機会を作った方が良いということです。ただし、子犬を外に連れ出すには、ワクチン接種との兼ね合いが生じてきます。