柴犬がオオカミに近いって本当!?
日本人に身近な犬種といえば「柴犬」ですよね。ただ、トレーナーの間でも柴犬は早熟で、嫌なことをされると歯を当ててくる傾向が強い、と言われています。つまり人に対して強く主張してくるのです(もちろん、おっとりした性格の個体もいます)。そのため、そんな柴犬と長い間暮らしてきた日本人にとっては、「犬と人の上下関係をはっきりさせる」という考えはとてもしっくりくる考え方なのだと思います。
さらに、オオカミと犬85品種のDNA(マイクロサテライト)解析をしたところ、日本人にとても身近な犬種である柴犬や秋田犬が比較的オオカミに近いことがわかりました(Parker、2004)。柴犬がオオカミに近いとなると、リーダー(アルファ)を絶対としピラミッド型でヒエラルキーが存在するオオカミの群れと同様に「飼い主が群れのα(アルファ)にならなければならない」という考えは間違いない、ということになります。
しかしながら、近年の研究でオオカミの群れに関する考え方が間違っている、ということが分かりました。実は、私たちがイメージしてきたオオカミの群れの形態は、限られた環境と資源しか与えられなかった人の飼育下での話でした。つまり、競争することを余儀なくされたオオカミ達の行動パターンから言われたことに過ぎないのです。本来、野生下のオオカミの群れはとても柔軟で群れの個体間が複雑に関係性を持ちます。息子には強気なお父さんでも娘のおねだりには弱い、といったお互いの関わり合い方がある、まさに人でいうところの家族関係に近いのです。
つまり犬と暮らして行く中で、上下関係をハッキリさせることに意識を向けるのはなく、よい家族関係を築くことを目標にすべきなのです。