【胴輪のつけ方】ハーネスを嫌がる原因と対処

「犬と一緒に楽しく散歩へ行きたい」「犬が苦しくないように胴輪(ハーネス)も準備して、いざ!」と思ったけど…いざ装着しようしたら、上手くできない!そんなことありませんか?
例えば…

☑ つけようとすると嫌がって逃げてしまう
☑ 胴輪(ハーネス)を持ったらすぐ追いかけっこになってしまう
☑ つけようとすると威嚇して噛んでくる
☑ 外すときに暴れてしまう

などなど、胴輪の装着についてこんな風に困っている方は多いと思います。実際、インターネットで「犬 胴輪」と調べると、すぐに「嫌がる」という言葉が出てきます。犬の散歩は毎日のこと、毎回毎回嫌がってしまっては、人も犬も楽しい散歩にはなりません。今回は、犬のためのやさしい付け方を説明していきます。

胴輪が苦手な理由、原因はいつくか考えられます。よくあるものをまとめました。また、理由によって対処も変わりますので、紹介します。

<理由①ハーネスそのものに慣れていない> 
 特に初めて使うハーネスなどにみられることがあります。犬は新奇物に対して恐怖心や警戒心を抱きます。例えば、床に置いたハーネスに対して吠えたり、ハーネスを不審なものとして認識して、見ただけで逃げたり、しっぽを下げて怖がるといった反応が見られることがあります。そのようなものをいきなり自分の体に装着されては、嫌な経験を積みやすくなってしまいます。また、そのような認識がある状態では、犬は距離をとるようになり、結果としてハーネスから逃げるということを学習していき、装着がさらに難しくなってしまいます。

<苦手克服トレーニング①>
1.ハーネスの近くでご飯をあげる

 ハーネスを嬉しいものだと認識してくれるように練習しましょう。まずは、ハーネスの近くにドッグフードやおやつなどを転がすようにし、食べさせます。その際、犬がハーネスを確認しようとにおいを嗅ぐことは問題ありません。

もし、この際逃げたり吠えたりする際は、食いつきの良い食べ物を用意し、ハーネスからの距離を離して練習しましょう。噛んで遊ぶような行動が見られる場合は、続けてしまうと噛むことを覚えてしまう可能性があるため、他に噛めるものを与えたり、食べ物を床にばらまき、ハーネスの存在を気にしなくなるまで繰り返し行いましょう。

続いてハーネスを手に持ち、反対の手からご褒美を与えます。犬がハーネスを気にして後ろに下がったり、逃げようとしたりしないことが大切で、はじめは犬に近づけたり動かさずに持つようにするとよいでしょう。犬にご褒美を与えながらハーネスを体に近づけたり、触れさせたりし、それでも気にしないでいられるようになるようにします。徐々に頭を通す動作やバックルを止める動きや音にも慣れさせましょう。

2.ハーネス装着後に楽しいことを経験させる

 毎回、大好きなおやつやフードなどをあげ、ハーネスを装着すると必ずいいことがあると学習させることが大切です。また、ハーネスをつけた状態でおもちゃ遊びをしてあげたり、朝晩のご飯を与えたりすると、効率よく慣らすことができます。また、犬によっては散歩や外に出ることがあまり好きではないことがあります。そのような性格の犬だと、ハーネスを装着することが苦手な散歩を連想させてしまいます。犬との生活では、外に出ることは必ず経験することですし、犬の運動や社会的な欲求を満たしてあげる上で必要なことです。家の外に出た時にご褒美をあげながら楽しい経験を積ませてあげ、外にでることを苦手にならないようにすることが重要です。毎年の狂犬病予防接種、お出かけ、冠婚葬祭などでホテルに預けるなど、外出する機会はたくさんあります。どんな犬でも家の中で一生を過ごすことはないでしょう。様々な刺激に対して恐怖心を抱いてしまわないように、小さいころから家の外にも慣らしてあげましょう。

<理由②動きを制御されることや体を触られることが苦手>
 落ち着いて動きを止めてくれなければ、ハーネスをつけることがスムーズにできません。ただ、犬は自分の体の動きが制御されることが苦手です。また、自分は動きたいという気持ちがあるのにもかかわらず、その意図とは反することされると激しく抵抗します。散歩の前で興奮している状態で、動きを抑えられるということは、まさにこれに当たることになりますので、装着が苦手となる原因として多いです。そして、体を触られることを嫌悪的に感じている犬も多くいます。触られる状況や触り方、触る場所によって変わるかもしれませんが、特にハーネスをつけるときは、嫌がりやすい状況と言えます。犬も生き物で感情がありますので、「触られたい」ときもあればそうではないこともあり、散歩前は、触られることよりも動きたいと考えている犬は多いはずです。さらに、ハーネスによっては、足を持ちあげなければならず、触ったり持ちあげたりすることは、犬の体が不安定になることなどの理由からも嫌がりやすく、「ハーネス装着=嫌なこと」と覚えてしまう事がよくあります。

<苦手克服トレーニング②>
1.首輪をもってご褒美をあげる

首輪を持つことは、リードをつけるときや犬を捕まえるとき、抱っこするとき、健康管理のために動きをおさえるときなど、犬との生活で色々な場面で活用できます。首輪をもってご褒美をあげる練習をしましょう。まずは下から持つようにして、短い時間(1秒ほど)から練習を繰り返しましょう。

だんだん慣れてきたら上からもつかんでみたり、長い時間(5秒~10秒)持ち続けてみましょう。すでに首輪を持とうと手を伸ばしたとき、後ろに逃げてしまう場合は、ご褒美を食べさせながらゆっくり持つようにしてください。

人の手に対して警戒心を抱いてしまっては、犬を捕まえることもできませんし、ハーネスを上手に装着することができません。首輪を持つことが難しい場合は、まずは、人の手からご褒美をあげることだけを練習し、人の手はドッグフードやおやつが出てくる嬉しいものだと思ってくれるようにしましょう。

2.ドッグフードやおやつを食べながら体を触る

長時間食べ続けられるようなもの(ふやかしたフードを知育玩具に詰める、なめ続けられるようなペースト状のおやつを知育玩具に塗るなど)を準備し、犬が食べ物に夢中になっている状態で、体を触る練習をします。

はじめは、肩のあたりや背中、胴体、そして首回り、頭のようにあまり嫌がらないところを触ってみてください。その後、足を持ちあげることや耳を触ることを練習するとよいでしょう。

<理由③逃げることを学習してしまった>
 「ハーネスそのものが怖い」「装着する際に動きを抑えられることが苦手」などをきっかけに、装着を嫌がることを覚えてしまうと、「逃げる」「噛みつく」などの行動が増えて悪化してしまうことがあります。はじめは、「ハーネスを装着するときに少し逃げようする」程度だったものが「ハーネスを見るだけで逃げるようになった」ということは少なくありません。犬が「自分の嫌なこと」から“のがれられた”という良い結果を得れば得るほど、このようにことが起こります。何度も経験し学習してしまうと、それを修正していくことには長い時間がかかることも多いため、人にとって望ましくない行動は繰りかえさせないことが理想です。ただし、ここで行なってはいけないことは、威圧的に犬に寄って行ったり、逃げまわることを叱ったり力づくに抑えつけたりすることです。そうすることでハーネスを装着することに対してさらに嫌な感情を抱くようになり、どんどんと行動が悪化してしまいます。苦手克服トレーニング①②をまずは地道に繰り返すことをおすすめします。また、以下のような工夫をすることも取り入れてみるとよいでしょう。

<苦手克服トレーニング③>
1.リードを首輪に装着してからハーネスをつける

 ハーネスの装着前に、もし可能なら首輪にリードを装着しましょう。リードを装着することで逃げ回ることを止めることができ、行動を悪化させてしまう事を防ぐことができます。

2.ハーネスを装着している場所を変える

 いつもリビングで装着しようとし、追いかけっこになってしまうような場合は、廊下や洗面所など、今までとは異なる場所で装着を試してみましょう。犬は状況をよく理解し学習していますので、場所を変えることでスムーズに行なえるケースがあります。また、広い場所で逃げられてしまうと捕まえにくくなるため、狭い場所の方が装着しやすくなります。また、高い場所に乗せることで動きが落ち着くこともあります。人が必ず横について目を離さないことや、滑らないように落下防止ができるようなら、そのような場所で行なってみてもよいでしょう。ただし、場所などの状況を変えても、また同じように嫌な経験を積めば、その場所に行くことを嫌がるようになったり、高い場所に乗せるための抱っこを嫌がったりするようになるので、おやつなどをあげながら行なわなければいけません。1人で難しければ、2人1組で食べ物を与え続ける人と、装着する人に分かれて練習することがおすすめです。

胴輪には、たくさんの種類があります。種類によっても装着の仕方が変わりますので、代表的な形の2つを紹介していきます。

●足を通してつけるタイプ
 このタイプのハーネスは、両前足を通してから背中にあるバックルを止めます。足を通す際、持ちあげられることを犬が嫌がることもあり、装着に手こずってしまうかもしれません。

●頭を通すタイプ
 このタイプのハーネスでは、はじめに頭を通し、その後胴回りを装着します。頭を通すことを嫌がることや、外すとき耳に引っかかって暴れてしまうことがあります。

 犬用のハーネスは、犬の頭や足を通して装着するものも多く、犬が嫌がったり、人が手間取ったりしてしまうことがあります。らくらくハーネスは、頭を通さずバックル3箇所で装着するものになります。外す際も耳をひっかけることなく、バックルを外すだけで簡単に外れますので、犬が嫌がりにくいことが特徴です。

 犬との散歩は毎日のこと。だからこそ、胴輪(ハーネス)のつけ外しを嫌がらないようにすることが大切です。

著者ドッグトレーナー鈴木拓真

著者:鈴木 拓真(すずき たくま)

麻布大学獣医学部動物応用科学科卒業。国際資格CPDT-KAを持つドッグトレーナー(スタディ・ドッグ・スクール所属)。毎週末行なうレッスンには多くの飼い主と犬たちが集まる。預かりや訪問など様々なしつけ/指導を行なう中、動物系専門学校の講師も務める。趣味は愛犬のぶん太(ブリタニースパニエル)と犬連れスポット巡り。